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2017.02.16 (Thu)

本棚:『圏外編集者』ほか

去年読んでいたもの。
とりあえず書いておいてアップしてない、というのがたまってます。
前回ゆるめの本を続けて読んでたので
今回はぐっと濃い経験値の詰まった本が並びました。

『圏外編集者』:都築響一(15.12)
編集者の方が、よくぞ粘って、聞き書きの本にしてくれました!という1冊。
何かを発信する、ものを作る、ってどういうことか、
気付きと刺激に満ちた本。
「好き」のエネルギーが、何をおいても一番の原動力なのだと分かる。
都築さんはいつも人が素通りするような面白いものを
取り上げている、と思っていたが、
実は「誰にでも関係するもの」「行こうと思えば行ける場所」を
取材しているのだと気付く。
たしかに、ゴージャスでオシャレで高価なものは、
ほとんどの人には現実味がなく無関係なもので、
それが記事の中心になっている雑誌ばかりであるほうがおかしい。
音楽でも美術でも文学でも観光地でもライフスタイルでも
専門部署の人間ならば、
もっと早く、効率よく、アクセスできるはずなのに、
やらないから、自分が一からやらざるを得ない。
手間と時間とお金がかかっても伝えたいものがあるからやる。
写真をてがけるのも、人に任せる時間とお金を惜しんだからで、
その結果、他の人とは重心の違う写真が撮れる。
「作品」ではなく「報道」だから、
紙面のデザイン性よりも、一つでも多くの情報を伝えたい、というのも
当たり前のことなのに、気付かずにいたこと。
都築さんが仕事を始めたころよりも、環境はまったく変わって、
プロとアマを分けていた差がどんどんとなくなっている。
技術を底上げする機材も安価で高性能になったし、
発表の場所もいくらでもあるし、どこにいてもできる。
ネットでデータにすれば、物理的なスペースも不要。
雑誌が死んでいくのも仕方がない。
この本の最初は、
自分の好きなこと、興味のあることをいかに実現するかな内容で
後半は、周りの目を気にせずに自分の好きなことを突き詰めている人を探して
取材していくことの醍醐味について語られる。
いずれにしても「好き」の力がなければ、面白いものは生まれない。
検索して見つかるようなものに、新しさはない。
都築さんのメルマガ、ものすごく面白そうだけど、
週1回の配信で、いくらスクロールしても終わりが見えないようなボリューム感、
しかも内容的にも濃ゆいに違いないものを、
定期購読できる自信がないわー。

『ウェブでメシを食うということ』:中川淳一郎(16.06)
『ウェブはバカと暇人のもの』の著者の本。
ネットが広まっていく過程を自分の体験をもとにして語っていて分かりやすい。
最後は固有名詞が多すぎて、
知っている人なら、つながりの醍醐味を感じられるのかもしれない。
ネットで有名になった人たちと言うのは多数いると思うが
ひとつの事例を知ると、
今の膨大で、とらえられない規模の世界にも
始まりがあって理由があったんだと分かる。
ネットニュースをはじめとして、
更新の頻度と記事の多さを思うと
どうでもいい内容、どうかと思う参照先、
反応として挙げられる事例の薄っぺらさ、
文章の拙さ、
どれも致し方ないことなんだろうが、
いつのまにかそういう単純で分かりやすく本当にそうなのか検証も甘いようなネタと
瞬発力だけの無責任な反応に埋もれて、
世間の雰囲気が作られてってしまうのかなと不安になる。
今もこの先も、
誰がどこまで網羅できるのか、
広がりすぎた世界を整理し説明してくれる人が
求められるように思う。
他にもたくさん著作があるようなので、つまんで読んでみるつもり。

『マンガ熱 マンガ家の現場ではなにが起こっているのか』:斎藤宣彦(16.07)
ボリュームと情熱に満ちた本。
Eテレでやっている「漫勉」が好きで見てるのだけど、
あれを見たあとだと、文章だけというのは分が悪い気がする。
自分が知っている島本和彦や藤田和日郎であれば、
熱い言葉の数々がストレートに入ってくるのだけど、
あまりなじみのない人、知らない人になると、
しかも作品を絡めてとなると、正直あまり分からなくなる。
やはり筆の動くさま、絵が出来上がっていく過程ほど
漫画を知るのに最適なものはないんだなあと実感。
でもこれだけ濃い中身のインタビューはそうないと思う。
島本和彦さんの「ギャグ特許」の話、
藤田和日郎さんの「ヒーローは間に合わなければならない」、
こういう一言が読めただけでモト取った感じ。

『毎日が一日だ』:いしいしんじ(16.03)
毎日新聞に連載されていたエッセイをまとめたもの。
『京都ごはん日記』に書かれていたことが、
読みやすい文章で、説明も加えられて、
いしいしんじを知らない人にも分かりやすくなった感じ。
息子に対する愛情を、作家の客観性と文章力で書くと
誰のココロにも繋がっていく深みが出る。
男性作家が子供について書く文章が私はすごく好きだなー。
この作家の子供だから、で
他の子供には体験しようのないものもたくさんあるけれど
日常の中で子供が見せる新鮮な反応や言葉は、
子育ての醍醐味なんだろうと思う。
目の前の小さなことに怒ってばかりいるお母さんや、
仕事に追われるばかりで時間のないお父さんに、
こういう本を読む暇もないのかもしれないし
読んでも味わうほどの余裕もないのかもしれない。
でも後から振り返って、うつくしい思い出として読むよりは
今読んで、今の時間の大切さを感じてほしいなあ、
などと部外者は呑気に思ったりする。
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2017.01.11 (Wed)

本棚:『主夫になろうよ!』ほか

頭を使いすぎたので、反動でゆるい本ばかり読んでいた。
去年の秋ごろに読んでたもの、だったかなあ。
書いてそのままになってました。

『長くなるのでまたにする』:宮沢 章夫(15.03)
宮沢さんの本をちゃんと読むのは初めて。
Eテレの「ニッポン戦後サブカルチャー史」を見てて、
こういう人なのかと分かって読んでみた。
文章の長さがまちまちなところがいい。
長く考察するよりも、
短く、尻切れな感じで終わる文章の方が面白い。
どのネタも、ユルさが半端なく、
文体がちょうどいい硬さとやわらかさ。
淡々としてるのが可笑しさを誘う。
こういう抑え目の文章で、どうでもいい話を書く人はとても少ない気がする。

『「ブス論」で読む源氏物語』:大塚ひかり(00..01)
再読。『源氏物語の身体測定』の文庫版。
読むものが手元になくなると、源氏物を読みたくなる。
末摘花ってデブじゃなかったのか。

『お家賃ですけど』:能町みね子(10.07)
男性から女性になる間のエッセイ。
淡々としていて読みやすいなと思ったら、
mixiの日記を再編したものらしい。
メディアに注目される以前の神楽坂の中にある
時間が止まったようなアパートでのくらしの話。

『主夫になろうよ!』:佐川光晴(15.02)
家庭での仕事は、どちらかが負うのではなく、
両方ができたほうがいい。
掃除、洗濯、料理は、
家族の健康、家族のシアワセにダイレクトに繋がる仕事。
やるほどに頭も使い、感性も鋭くなり、技術も上がる。
「自分が作ったもので、子供が大きくなる」
これほどのやりがいはない。
男性側の視線で主婦(主夫)の仕事を見直されると、
ないがしろにされている、当たり前だと思われている家での仕事の多くが
それこそ自分にしかできない、意味のある仕事なのだと分かる。
「作家という職業だからできるんでしょ」と関係ないものと思わず
自分だったらどう対応するか、と考えるところからはじまる。
なんにしてもゴハンひとつも作れない人に、
仕事がちゃんとできるとか思わないんだけどなー。

『日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る』:マイク・モラスキー(14.03)
いわゆる外人風筆名なのかと思ったら、ほんとのアメリカの方だった。
文章、内容からはぜんぜんわからない、
実体験に基づくディープな飲み屋の紹介と分析。
なかなか入るには勇気のいる場所ばかりだけど、
興味深い飲み屋がたくさん。
自分で感性を磨いていくこと、見る目を鍛えることの面白さ。
「メディアやネットで居酒屋を語るときに料理の話ばかり」という指摘に、確かに。
場を楽しむには経験が必要だなー。

『今日も嫌がらせ弁当 反抗期ムスメに向けたキャラ弁ママの逆襲』:ttkk(kaori)(15.02)
頭が下がります・・・。
インパクトだけではなくちゃんとおいしそう。

『第2図書係補佐』:又吉直樹(11.11)
ブックガイドでありつつ、自身のエッセイでもある。
ふたつが同時に楽しめるお得な1冊。
以前読んだ『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』の中に
又吉さんのエッセイも入っていて、それもとても面白かったんだよね。
私はあまり小説を読まないので、このガイドは視野を広げるのにいいかも。
新旧関係なく、いろいろ入っているのが面白い。

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2016.10.15 (Sat)

本棚:『いつまでも若いと思うなよ』ほか

初夏のあたりから読んでいてたもの。
刺激のある本の数々。
死・身体・能力・引継ぎ、な話に、頭の中が活性化。
なんか養老孟司フェアな様相。
来生さんにも読んでほしいような本がたくさん。(たぶん読まないだろうが)

『いつまでも若いと思うなよ』:橋本治(15.10)
橋本さんは現代の啓蒙家で、
至ってまっとうなことを、
少し人が思いつかなかったところから
きちんと言葉で追っていくので
なかなか読みにくい、ところはあるかもしれない。
このヒトは浮ついたことを言ってるのではなく、
自分の経験にのっとって、身体で知って頭につなげているというのが
この本を読むとすっごくわかる。
こんな大変な経験、普通の人では乗りきれない。
貧乏(しかも飛び込んで行った)、
万人に一人の難病、膨大な仕事量、半端ない頭の良さ。
そういう人が、老いについて考え、発見の日々を新鮮に驚いている。
死は結局、生の側からしか考えられない。
橋本さんの新しい本が、まだ出ていることに感謝。

『衣にちにち』:群ようこ(15.06)
日々の着るものに関するエッセイ。
ある日突然、いつも着ていたものが似合わなくなる、というのがコワイ。

『よはひ』:いしいしんじ(16.01)
小説っぽい小説を読むのははじめてかも。
恒川光太郎的な雰囲気もあって面白かった。
いしいさんの本は、ひとつの文章で、
ふいにどっと涙が出てくるようなところがある。
大きな事件が起こるわけでもない話に
あっという間に引き込まれる。
目の前に、乗るはずの電車が来ているのにも気付かなかった。
一編が短いので読みやすい。
最後にゆるゆると話が集まってくるのも面白かった。
「小学4年の慎二」が強烈に印象に残る。

『街場の共同体論』:内田樹
久しぶりに内田さんの本を読みました。
社会で起こっている複雑なことを、
誰かがかみ砕いて解説してくれるととても助かります。
当然、その「誰か」が問題で、
内田さんなら大丈夫だろうと私は思うので読みます。
今の社会の状態が、
戦後豊かになることを望んで進んだ結果であるとの文章に
深く納得しつつも、恐ろしさとやりきれなさを感じて
いつもなら「そうか!」とすっきりするところが
「そうだよね」と、げんなりするという方にすすみ、
読みながら気分がふさいでしまいました。
「教育」を「経済」の視点でとらえると、
何も勉強(努力)しないで資格を得ることがいちばんトクした人になる、というのが
みもふたもなさ過ぎて嫌になる。
少しでも他者を思って動くこと、そういう人の割合が少しでも増えること、
自分から、動かしていく以外に策はないんだろうな。
次世代を育てる、自分がもらったものを次に渡すことの大切さ。
「人に迷惑をかけない」という言葉の裏にある思考にぞっとする。
他者は、めぐりあわせでそうならなかった自分の姿と思えば
考え方も変わっていく。

『庭は手入れをするもんだ 養老孟司の幸福論』:養老孟司(12.12)
先の内田さんの本と、内容がリンクしていてびっくりする。
同じような話を続けて読むことでより腑に落ちていく。
「こうすれば こうなる」と考えて、
分かった気になって動かないことの意味のなさ。
「自分」なんて、自分のものではないという考え方。
日本の自然が他国にはないほど多様で豊かなこと。
それはその国の人の考え方にも通ずること。
効率や便利や楽なことを優先して人間の力が落ちていること。
小さな範囲だけを切り取って考えることでは意味がなく、
物事はさまざまに繋がり連動していること。
以前読んだ『武術と医術 人を活かすメソッド』の
「総合医療」の考えにも繋がる話。
考えるよりもやってみること。
考えすぎて簡単な答えにも気づかないほど、能力は下がっている。

『からだとはなす、ことばとおどる』:石田千(16.03)
石田千さんの本は、読んでいると落ち着く。
言葉の静かさ、ゆっくりさ。
生活する時間の丁寧さ。
写真も含めて、昭和なかおりのする本。

『日本人はどう死ぬべきか?』:養老孟司×隈研吾(14.12)
続けて養老さんの本を読む。
二人の対談本から、隈研吾さんのことを知ったのだった。
「死」をテーマとしながら、話は違う方へ脱線していく。
日本という自然災害の多い場所に住んでいる以上、
家はずっと住み続けるものというよりも、
変化して流れてやり直せるものであるほうが自然な気がする。
「死」はつまるところ、2人称(近しい人)の死が一番の問題で
自分は死んだらおしまいで自分にはわからないのだから、
今ちゃんと楽しまないでどうすんの、今やることやらないでどうするの、
という考えが底にあるので、読んでいると気持ちが上がっていく。

『老人の壁』:養老孟司・南伸坊(16.03)
こちらも、老人・死というものをテーマとして与えられながら
中身は「どう楽しく生きていくか」ということが中心。
・人間はだませても自然はだませない。
 いい加減な仕事には相応の結果が起こる。
(これ読んだ後に、豊洲の盛土問題が出てきてうなった)
・余命は短く言っておいた方が、
 その数字より先に死なれる可能性が低くなるので医者にとって都合がイイ。
・分かったことが嬉しいのではなく、分かって自分が変わることが楽しい。
・良いと思っていることにも裏表がある。
 効きすぎる薬をもって、よく効くからと増やすのか、よく効いたからと減らすのか。
 絶対なんてものはなく、距離感と、ほどよいところで受け入れることの大事さ。
・車みたいな、70キロの人間ひとり動かすのにトンのものが必要か?
・ただ見ているだけでは分からない、
 絵を描くことで細部を観察し、概念化ができるようになる。
・趣味や夢中になることを持つと考えることが楽しくなり、
 儲けなんて出なくても人の役に立たなくても、そこに自分という作品が残る。
まさに、分かって自分が変わるような話が次々と。
軽く読み進められるけれど、たくさんの豊かな話が詰まっている。

『女を生きる覚悟』:三砂ちづる(14.07)
以前読んだ『不機嫌な夫婦』と内容的にはかぶるところが多いけれど
繰り返し読んでも大事なことは残してあるという感じ。
ここでも、大事な話をする前に、
各方面への断り書きをくどいほど書かねば話が進まないという、
今の世の中の難しさが見える。
身体のもつ力を呼び覚ますことの重要さ。
日常当たり前に使っているもの(水や電気など)がある日無くなった時に、
身体の力が発揮できる。
便利に慣れて、いろいろなことを忘れた身体がかかえる問題を
感じること・想像すること・経験してきたことから考え直すことがとても大事。
三砂さんの本を読んでいると、
赤ちゃんや子供には、
幸せを感じて嬉しいと素直に表現できるような環境と体感を
与えてほしいと心から思う。
大人の都合で無理のある生活をして、身体という基本の環境をないがしろにすること、
自分が便利だからラクだから、
子供たちの気持ちが本当にそうなのかは分からないから、と
小さな子たちが、我慢して受け入れなければいけない状態に置いてしまうこと、
読んでいると切なくて悲しくなってくる。

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2016.06.23 (Thu)

本棚:『ゆるい生活』ほか

書いてたまっていたものを2つ連続でアップしてます。
近所の図書館の改装も終わって、直接手に取って借りる環境が戻りました。
なんか前より、陳列してる本のラインナップが、
微妙にライトになった気がすんなあ。

4月ごろから読んでいた本はこんな感じです。

『『罪と罰』を読まない』:岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美(15.12)
図書館で、けっこうな予約数が入っていたもの。
みんな「罪と罰」を読みたいと思っていて
読んでいない人が多いんだろうな。
タイトルとこのメンツで引きは十分。
ラズミーヒンが馬で修造というのに爆笑。

『楽器と武器だけが人を殺すことができる』:宇野常寛(14.12)
ゼロ年代以降のサブカルを知るにはこのヒトの本。
テーマは多岐にわたっているが、通底するものはあり。
昭和がもうかなり遠くなってきているのを実感する。
昭和の時代には、乗り越えるべきもの破壊すべきもの前提になるものがあって
それと対峙することで生まれてきたものだったけれど、
今はそれはそれとして、無関係なところで、関係するとしてもネタとして、
閉じた中で何かを生んだり、試行錯誤している、ということなのかなと思った。
ネットで世界は広がったように思うけど、
実際は自分の目の前、手の届くところしかリアルじゃないとか。
元ネタを知らないものの方が多いけれど、
ライダーシリーズちょっと見てみたくなった。

『新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動』:原田曜平(15.09)
キャラとしてふるまえる程度にライトになった今のオタク。
ネットとSNSのおかげで、時間もお金をかけずに情報が集められ、
同好の士を見つけやすくなっている。
ライトになったからと言って、誰もがライトにふるまえるわけではないし、
繋がりやすくて、めんどくさいことが多そうな気がする。
まあ自分の好きなものがあって、追っかけているのはシアワセなことだ。
姫の話はかなり引くけどな。

『ゆるい生活』:群ようこ(15.01)
漢方で身体の不全をゆるゆる改善していく話。
ニュートラルな状態に近づくと、
具合が悪い状態に敏感になる、のがちょっと大変だ。
でも壊れた食生活をしてもなんともない鈍感な体でいることが
良いわけでもなく。
甘いもの、水分、無理をする生活、目の前の刺激、
良くないと思われるものはたくさんあるけど、
ぼちぼち改善して付き合っていくくらいがいい。
漢方って興味があるし、
生活を見直したり体の状態を整えたりするのに
とてもイイとは思うのだけど
金がかかりすぎるんだよなあー。
辛抱強く続けてナンボの治療なんだけど、
お金が続かなくて諦めてしまう。
しかし1日にやることは一つって無理だ。
裁縫やったらパソコンはダメで、あとは体を休めろと言われてもなあー。
なんて5年もしたら、身体に影響が出てくんのかな。
読みながら、いろいろと生活について考えてしまう1冊。

『スピンクの壺』:町田康(15.10)
スピンクシリーズの3冊目。
1冊目の衝撃はもうどこにもなくて、
前作同様、普通に犬エッセイという感じに。

『ネットの危険を正しく知る ファミリー・セキュリティ読本』:一田和樹(15.03)
利便性と経済性を優先して、加速度的に広がるサービスと罠。
知らないままで使う大人、知識がないのに使う子供、
儲けようとして巧妙に情報を隠し、そそのかし、
自分だけおいしい思いをしようとする知識を持っている者。
スマホもSNSもネット決済も、使わないのが最大の防御としても
全て使わないのは難しい。
自分にとって何が必要か、どこまで便利を利用するのか、見極めは大事。
安心・安全が一番ないがしろにされる現実。
今の状況を自覚しなければ、利用されるだけのダメなヤツのままってことか。
特にこどもをもつおかあさまにオススメしたい1冊ではある。

『負けない力』:橋本治(15.07)
新しい本です。体調は良くなったのだろうか。
橋本治の本を読んでいると、
あまりにまっとうなのに、日常の中で見落としていることに
いろいろ気付く。
アタマの中をいろいろな考えが動く。
今を語るのに、ネットの話をことさら入れなくても、ちゃんと見える、伝わる。
のは、橋本さんが問題の本質をとらえているからなんだよな。
考える、ってどういうことか。
不安や問題があって、それをなくそうと動き始めるとき、
アタマはものを考えることを始めるし、それによって知性が身についていく。
「みんな」を基準にすると、際限なく続いていくしかないような、
詰め込み型の思考(勝つこと)では、対応できない。
自分のほどほどを知って、必要な場面で考え、現状を変えていく(負けない)ことが
個人としてできる、大切なこと。
「謙遜」ってそういうことなんだ、とまたも目からウロコの経験。
橋本治の本を読みなれていない人にしたら、
なにをまどろっこしい、となるんだろうが、
結論にたどり着くには、
ちゃんとこういう、道筋を追って考えることを抜きにはあり得ないのだと、
知っておく必要はあると思う。
なんでもかんでも、すぐ答えを求めてるなんて怠惰だよ。

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2016.06.23 (Thu)

本棚:『6粒と半分のお米 木皿食堂②』ほか

借りてる本を返す前に、あわてて書いてためていたので、
気付いたら結構なボリュームに。
ふたつ続けてアップします。
年明けくらいから読んでた本、かな。

『京都ごはん日記』:いしいしんじ(14.01)
ごはん日記シリーズ、はじめて読んだ。
独特の文体がさらに砕けて、日常の中に非日常が紛れ込む。
2段組びっしりなヴォリュームだけど、電車でちまちま読むにはちょうどいい。
書いた時期はかなり前になるんだな。
文章ではあっという間でも、
実際にこの距離(京都・東京・三崎などなど)を移動して、
いろいろなことを体験しているのかと思うと、毎日の密度に驚く。
いしいさんの文章を読んでいると、
美味しそうなものがより美味しそうに、
魅力的な音がより魅力的に聴こえるようで
心がぞわぞわしてくる。

『金色の獣、彼方に向かう』:恒川光太郎(11.11)
久々の恒川光太郎。未読の本が少なくなっていくさみしさ。
毎度の恒川ワールド。
掲載順と発表順は違うようだけど、
時空を超えてゆるくつながる世界。
でも今回はそれがかなりピンポイントで、
言葉だけが短編をまたいでいるようにも感じた。

『いますぐ書け、の文章法』:堀井憲一郎(11.09)
文章を書く、とはどういうことか。
耳が痛いところ、なるほどと思うところ、やっぱりそうかとうなずくところ。
媒体はなんであれ、プロであれアマであれ、
生きた文章を書くためのポイントがいろいろ詰まってます。
自分が一番に発見した!が目に留まるポイントなのではなく、
後発でも面白く熱を持って書いているもののほうが目に留まる、というのは納得。
文章の個性は使っている言葉ではなく、
どの言葉を使っていないかにある、もとても共感するポイントだった。
そしてちゃんとした本、文章を山のように読むことの大切さも。
ネットの記事を読んでると、
この書き手はネットの言葉しか読んでないんだなと思うことがとても多い。

『本で床は抜けるのか』:西牟田靖(15.03)
本で床が抜ける事態を冗談ではなく真剣な問題として取り上げた本。
書くことを仕事としていると、資料としての本は尋常ではなく増えるらしい。
草森紳一や内澤旬子さんの本を読んでいたので、
ちょうど話題がニアミスしたのも面白かった。
電子化・自炊の話も、
これまで読んでいたどの本よりも現実感のある話だった。
物体としての本のもつ力の大きさというのも、よりリアルに感じられた。
たくさんの取材を積み重ねて、
最終的に、本なんかよりももっと大きな問題が
修復できないところまで進んでいた、というのが怖い。

『もいちど修学旅行をしてみたいと思ったのだ』:北尾トロ・中川カンゴロー(08.04)
年を重ねてから分かる各地の名所旧跡。
おじさんになると歴史への興味も加わって、
知りたいこと気になることが増えていくのね。
歴史にいまだ興味の持てない自分は、
今になっても、でかい・すごい・かっこいいな視点であちこちを歩くだけだ。
面白くゆるゆるなガイドブック。

『蚊がいる』:穂村弘(13.09)
各媒体の連載を集めた本。マナーの話はダブってますね。
年をいくら重ねても、本質的な部分は変わらず、
むしろ重ねた分だけ、問題もまた増えていく、ような。
男性が書いているから、笑って読める本だと毎度思う。
最後の対談の中で、自分一人だけだと思っていることが
ネタになり本になり、
それが売れるということの不思議さについて書いてあった。
確かに。
みんな共感しているのに、普通に何もないように生活しているんだな。
うまくいかないことから考えるきっかけが生まれる。
違和感をちゃんと言葉にするセンスはさすが。
単なるあるあるを超える研ぎ澄まされた普遍性。

『よれよれ肉体百科』:群ようこ(15.05)
これから起こるであろう様々な問題を事前に知っておく、にはいいかも。
群ようこさんのエッセイは、
分かっていても、読んでいてあまりすっきりはしない。
でもなんとなく手に取ってしまう。

『6粒と半分のお米 木皿食堂②』:木皿泉(15.05)
前回の木皿食堂がたまらなく面白かった。
今回も同じく、手元に置いておきたいなと思う1冊。
短いエッセイの中に込められている内容の濃いこと。
どれも気持ちの奥をじんわりと熱くするような素晴らしい文章ばかり。
対談、講演になってもそれは変わらず。
地に足がついて、経験から言葉を発している、こういう文章をもっと読みたい。

『学校で教えてくれない音楽』:大友良英(14.12)
いわゆる「音楽」ではないアプローチで、
音を出し模索し作っていく現場の面白さ。
身体を動かすことの楽しさ、周りの人間との関係性、コミュニティの問題、教育の問題、
さまざまな要因が絡んでくる。
大友さんが、一般の人たちとその場で音楽を作っていくことを、
最初はやろうと思っていなかった、
むしろ疑っていたり嫌がっていたり避けたかった、
というスタンスでいたと書かれていてむしろほっとした。
引き受けてからやり始めて、理解できないこと、衝突したこと、などを経験しながら、
自分の内面が動いて楽しくなっていった。
発見や驚きや刺激を受けたことで、自分のやってきた音楽も変わっていく。
始めにご立派な志ありきではなく、
やっていたらこうなった、という経過が語られていて好ましい。
最後の章は、それをもう一度ちゃんと文章としてまとめていて分かりやすかった。
文章になってしまうことで、
形が決まってしまうことの怖さをちゃんと分かっていて
なお書いている、ことにも誠実さをひしひしと感じる。

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