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2012.06.01 (Fri)

本棚:『スピンク日記』ほか

読むものが見つからないので、普段歩かない棚を覗いたり。
なんとかかき集めた本は見事に統一感がありません。
毎度のことです。

『優柔不断術』:赤瀬川原平(99.06)
原平さんの新刊が出ないので、既に読んだものを久々に再読。
書き下ろし本、でちょっとタイトル負けしてるかも。
「優柔不断」を真正面から捉えようとすると、
まさにぐにゃぐにゃと捉えどころがないという感じか。
1部で詰まって2部から自らの体験にスライドしていくあたりは
原平さんの読者には既に知っているものが並んでいる感じで物足りない。
あとがきにあった「打ち合わせが一番盛り上がった」というのもうなづける。
ノリのいい相手と頭の中の枠からはみ出るくらい広げる妄想の冗談くらい
面白いモノはないからな。
ただそれは、その場所・その相手だから面白いんであって
いざ文章に引き下ろして、そこにいない他の人に説明しようとすると
ボロボロとこぼれおちてしまうのだ。
原平さんの本はそういう難しいバランスの上に成り立ってるものがたくさんあるな。

『スピンク日記』:町田康(11.02)
久々に日記・ノフィクションの棚を覗いていたら
どぎついピンクに白抜き文字の背が目に飛び込んで
町田康は読んだことがないんだけど思わず手に取った。
したらさらに強烈な犬の写真が表紙に。
なんだこれは。生き物か。ぬいぐるみか。
おっさんのようにもみえるが。なんで耳がピンクなんだ。
ちょいと文章を読んで感触を見る。
思ったよりはクセがありすぎるわけではなくて大丈夫そう。
そして中にもふんだんに犬の写真が。
これがまた可愛くないんだ・・・。
私は犬に詳しくないので、プードルと言われて、
こんなにイメージと違うのに軽くパニクった。
とにかくでかくて足が長くて太くて変なところに関節があるようで
でもなで肩でしかも毛がわしゃわしゃで、何よりも愛らしくない、のが凄い。
2匹が人間臭い顔で笑ってるのだ。
これが実に幸せそうなんです。
スタンダードプードルというんですって。
本当にこの種類はこういう同じような顔してるんでしょうか。
町田康が飼ってる犬だけこんな顔なんじゃないのかといまだに疑ってますが。
私は猫犬子供系のエッセイは偏見があって読まないんだが、
これはプードルのスピンクが主人・ポチやオクサマや
キューティー・セバスチャン(スピンクの兄弟)との日々を、
少し醒めた目線でつづるというスタイルで、
本当は書いてるのはポチ(町田康)なんだけど、スピンク目線で読めてしまう。
それでいてちゃんとポチ(町田康)がどれだけスピンクとキューティーを愛してるかが分かる。
エッセイとしても面白く、使う言葉が狙ってないんだけど少し違和感があるという不思議なノリで
こういう文章はちょっと無いなあ、と面白かった。
でもやっぱ強烈な犬の写真がこの本の魅力の半分を占めますね。

『未来ちゃん』:川島小鳥(11.04)
写真の棚を覗く。写真集なんて初めて取り上げるかも。
たぶん最初はブランチで見たと思う。
剥き出しの、そのままの、ナマの子供の姿。
私は子供もいないし子供と接する機会もほとんどないので分かんないが
親はこういう子供の姿を見ているものなのかな。
それとも注意しないと見逃してしまうほど、一瞬のものなんだろうか。
カメラを意識しない原色の生き物の強烈な力が溢れてる。
泣きたくなるほど純粋な、吸い込まれそうな黒い瞳。
稲わらにくるまれた笑顔の写真と、雑巾がけの写真が好き。

『墓活論』:赤瀬川原平(12.03)
実は出ていた新刊本。
数年に一度ふらつく民俗系の書棚にあった。
鎌倉の寺に墓地を得るまでの話は、
それまでに読んでいたものとかぶってるところが多いな。
でもこれから誰もが考えるであろう問題について、
ひと足先に実体験をまとめたエッセイは
必要な人にはちょうどいいかもしれない。
あとがきを読んだら、やっぱり癌を患って治療していたようです。
大事にならずにすんでいるようですが、
まだまだゲンペさんには元気で新しい本を書いていてほしいなー。

『遠い足の話』:いしいしんじ(10.03)
いしいさんの本は2冊目。
以前読んだ『熊にみえて熊じゃない』とダブるところもあり。
「やはり」と「予め」の間のチカチカする明滅。導かれていく醍醐味。
子供時代の生活団の話は興味深かった。
ドイツのシュタイナー学校を思いだす。
愛情をもって関わり過ぎずに見守る大人に囲まれた子供時代を送れた人は幸せだな。
最後の「住んでいた町」は一段と内容が濃く、
着ぐるみやらアパートの中のバーやら
本当にそんな生活してたのかとにわかに信じがたいが、
その中で多くの友人や近所の人たちとしっかりと付き合い、
繋がりが大きくなっていくのを見ると驚くしうらやましいなとも思う。
リアルな生活がこれだけ濃くて面白いのを読むと、
フィクションである小説を読まなくてもいいんじゃないかと思ってしまう。
彼の文章はゆるさときちんとした感じの分量がとてもちょうどいい。

『安全な妄想』:長嶋有(11.09)
この人の本は初めて読む。
なんだか名前に記憶があるのはツイッターで見かけたせいか。
文章のはじけ具合が微妙なところ。
もう一声「唇」くらいまでぶっとんでもかまわないと思う。
「魚ニソ道」(注:魚肉ソーセージ。ちなみにのもん家での呼び名はギョニッキー)に笑った。
トースターであぶったことはないが、試してでもやろうとは思わなくなったw
そして芥川賞受賞時に新聞に載った写真が本当にむっちゃ喜んでたので
電車の中で震える。
また機会があったら読んでみるかもしれない。


そろそろ図書館で次の本を物色せねば。
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20:43  |  蛸足図書室  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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