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2014.11.15 (Sat)

本棚:ジョナサンベル・スペシャル!

ずいぶん前に読み終わって、
書くのもほとんど出来上がっていたのですが
最後に残ったDVDを見ていなかったので
えらい時間のたったアップになりました。

今回のラインナップは、バンド「ジョナサンベル」のみんなが選んでくれた本。
感動的な詳細はこちらを見てくれるとうれしいです。
乳がん記録20:ジョナサン・ベルからもサプライズ!

自分では手に取ることがなかったであろう本の数々。
しかも最近はほとんど読んでいなかった小説ばかり。
せっかくなので、めいっぱいかき回してから積み上げて
上から読みました。
読むのは作家名とタイトルだけ。
紹介文もあとがきも一切読まずに
先入観をいっさい持たずに読みました。

今さらながら、
自分の知らない面白い本を教えてもらうって楽しいですね。
3人3様のセレクトなので、ジャンルも様々。

『ワイルド・ソウル』:垣根涼介(21.11)
宮内さんセレクト。
初出は2003年とか。
ブラジルW杯の前に読んでよかったなと。
1960年代のブラジル移民政策の実話をベースにして
積み上げられていくエンタテイメント。
第1章に書かれていることが、それほど昔ではないころに
現実にあったんだと思うと、知らないことの罪悪感を感じるし、
小説という形で知らせることの意義を感じた。
小説の中で起こることを思えばさらに。
病院の待ち時間や電車の中で細切れに読んでいたのだけど
ものの数行で、すぐに小説の中に入りこめてしまう。
計画を遂行するために周到に準備されていく様子も
この話を進めるために作り込まれているという感じがまったくなく、
そこにいろいろな人物がからんで、視点が増えて行くのがまた面白い。
下手なつじつま合わせミステリとは全く違う。
スタートにある現実の重さはあるけれど、
一方でエンタメとしての面白さもしっかり。
イヤな読後感もなく、むしろこんなになくていいのか、くらい充実した気分。
文庫上下巻のすごいボリュームでしたが、中だるみもなく、
ブツ切れで読んでも十分に濃さを味わえました。
「鼻毛野郎」がインパクト凄くて頭から離れません。

『穴』:ルイス・サッカー(06.12)
小林さんセレクト。
小説が発表されたのは1998年。日本で刊行されたのは1999年。
少年矯正施設で、毎日穴を掘らされる、というと
何かヤサグレた内容かと思ったが
どこかほのぼのと淡々とした文体が面白い。
主人公は無実だけど、周りの少年や大人たちは一癖も二癖もある連中。
少年の共同生活的な面白さと、信用しきれない関係。
随所で挟まれる、過去のエピソードは、
それぞれ遠く絡み合ってくるのだけど
単独でも味わえる面白さ。
読んでいる側はそれが繋がっていくことを知ることができるが
穴を掘っている少年はそれを知らないんだなあ、と思うと不思議な感じだ。

『第七感界彷徨』:尾崎翠(09.07)
カクロウさんセレクト。
初出は1931年。
作家の名前だけは知っていて、そのうち読んでみようかと思っていた。
(今回、唯一知っていたのは、この作家名だけ)
読みにくくはないけれど読んでいて不思議な感覚になる文体。
時代の雰囲気なのか独自の文章なのか。
兄弟・従兄弟らしい関係なのに、ここも不思議な距離感。
分裂症の研究・蘚(こけ)の研究を語りながら
個々の恋のようなものも見えて
どれも恋愛になっているのかいないのか分からない
形のない気持ちが全体にふわふわ漂っていて
読み終わって後も捉えどころのない感じがあるけど
決して不快ではない。
こういう文章は、今は書けないのでは。

『ぼくらは海へ』:那須正幹(10.06)
小林さんセレクト。
初出は1980年。
最初、児童文学とは知らずに読み始めたので、
「少年、海、筏」とお題が揃ったところで、
イヤ~な予感を持ちつつビクビク読んだ。
そのうち、子供たちだけで海にのりだして筏が転覆して、
な展開があるんじゃないかと思うと、
少年たちが無邪気(でもないか)に筏づくりを進めて行くシーンも、
単純には楽しめない。
でも、子供同士の縦・横の関係や、
それぞれの性格や家の事情などの背景を読み進めながら
学校を超えた場所で、
一緒になってものを作る中で生まれるもの、は良いなあと思う。
終盤、自分の予想を超えたところの事件と、経過と、最終章は
衝撃的だったけれど、
読み終えた後はどこか気持ちの良さもあり。
そのあと、あとがき・解説を読んで
これが児童文学として発表されたと知り、そう思って読んだ人にとっては
ちょっとどころではないインパクトがあったんじゃないかと。
さらに、この作家が「ずっこけ三人組」の人だと知って、さらにビックリ。
私はそのシリーズを読んだことはないけど、
それだけの著名な人が書いた作品としても
問題作なんではないかなあ。
読み終わって、
そういえばパーソナルな電気機器が一つも出てこなかったなと気がついた。
子供たちは家・学校・塾・その他の場所で、
それぞれの人間関係を作り悩んでいる。
今は個人の家電のせいで、
別の人格になれる場所はどんどん少なくなっているような気がする。
まあ子供がいないので、ただの憶測ですが。

『スターガール』:ジェリー・スピネッリ(11.06)
小林さんセレクト。
2000年の作品。
今回、唯一、最後まで入り込めなかったかもー。

結局、個性ってのは許容できる枠の中でだけ許されるもので
空気を読むことがとても大事ってことなのかなあ。
彼女が誰にも似ていなくて、魅力的であるのは間違いないのだろうけど、
飛び向けた個性は、自分のごく近い位置にいると話は別。
彼女のことが好きでも、恥ずかしくない程度に留まっていてほしいし
周りから認められないような状態は望ましくない。
まあ、自分とは遠いところにいて、
あとで思い出す分にはネタとして上等、ってことなのかなあ。
結局彼女がナチュラルなのか、そうでないのか、
気にしているのか気にしていないのかがよく分からない所が
また読んでてブレちゃうんだろうなあ。
受容と拒否のタイミングが、自分の感覚と合わないままに展開されるので、
置いてきぼりを食ってしまう。
たぶん、ここが自分のテンポと合えば、
この展開にわくわくして乗っていけるのだと思う。
日本だけでなく、子供って窮屈な場所で
けん制しあってるんだなあなんてことを考えてしまった。
秘密の場所のシーンは、色合いとかスケール感とか静けさとか
思い浮かぶ映像が美しくてよかったな。

『幻影の書』:ポール・オースター(11.10)
カクロウさんセレクト。
2002年の作品。
主人公と、無声映画の俳優の二人の人生が並行して語られる。
今起こっていることを追っていく記述よりも、
かつてあったことを説明する形での記述が多く、
読みながら、何気なく説明される小さなエピソードにドキッとしたり。
実在しない映画の詳細な描写もすごい。
しかし女性が絡むと一気に話が劇的に展開するんだなーと感心してしまった。
最後はもやもやした気分が残るが、
最初から最後までみっちりと濃い内容だった。

『さすらい』:東山彰良(09.05)
宮内さんセレクト。
単行本は2006年発行。
ヤロー3人なら3バカだが、4人集まればスタンド・バイ・ミーくらいにはなれる?
(あんまり映画よく知らんけど)
4人それぞれの置かれた環境、これまでの生活、親子関係、性格、
あまりにインパクトがありすぎるが、ハナシは淡々とポップに進む。
いじめられっ子の少年に、それぞれ一家言持ってるあたりが
一つの読みどころでもあり。
共感しようにもするポイントがないムチャクチャな設定だけど
これでも友情だったり信頼だったりくされ縁だったり、
意識されない、しないような奥底のほうにちゃんと存在する、
のかもしれない。
垣根涼介(一番最初に読んだ作家。ここで円環するとは)の解説を読んだら
興味が出たので、図書館で『路傍』を借りてみました。

なところで。
ジョナサンベルのメンバー3人セレクトの本7冊読了です!
久々に小説読んだけど、面白いねえ。(何言ってんの)
知らない世界に入りこんでいく感じとか。
具体的なエピソードの中に、真実を見るような。
説明ではない形で、世界や人の気持ちや関係性や、
いろいろなものの姿を描き出すような。
私が音楽の歌詞を聴く時に感じる好ましさが、小説の中にもあるんだなーと。
私は即物的な本ばかり読んでいたので、
なんだかとても新鮮でした。

面白いのは分かったけど、
でも小説を自分で探すのって難しいよなあ。

最後はDVD。
『アリゾナ・ドリーム』:エミール・クストリッツァ監督(1994)
若き日のジョニー・デップがかわいいのなんの。
ぼさぼさの髪にだらしなく開いた口、ぷくっとした顔に
子供っぽさが出てていい味してます。
不思議な映画でしたねー。
なにがどう、と説明できないけれど、いろいろなシーンが心地よい。
発端があって結論へ向かって進んでいくような映画ではないので、
見る人によっては何が言いたいのかわかんなくてイヤかもしれない。
でも別に説明できるようなことだけで映画を作ってもしょうがないよね、と。
映画館に紛れ込んでくる犬や、ストッキングでは自殺できない、とか
タバコ一度に3本吸うってそういや見たことないな、とか
不思議に印象に残るシーンもいろいろと。
二人の女性も、それぞれにかわいい、と感じるところもあるが、
アクセル(デ)が結局この二人に対してどう思っていたのかが、よくわかんない。
けど別にわかったらどうなんだ?とも思う。
あ、これはコメディ映画です。
随所でゲラゲラ笑いながら見ました。
あとからあのシーンまた見たいな、と思う感じの映画でした。
おまけ:
映像特典の未公開部分や「幻の」CMなどの映像のほうが
雄弁なセリフ、わかりやすい説明が入ってた気がするな。

というところで、
ジョナサン・ベルからいただいた、素敵なプレゼントのレビューはおしまいです。
なんでこんなにアップに時間がかかったかというと、
コウイチさんがセレクトしてくれたDVDを見るのに時間がかかったからです。
本は移動中に読めるのだけど、
DVDは、私の日常の中で時間を獲得するのが非常に難しいもの。
暇がないんじゃなくて、急いでみないといけないもの(サッカーだのテニスだの)
が山とあるためでございます。
スマン。

またなんか「これおすすめだよ」というのがあったら
懲りずに教えてください。
「合わない」とかいうかもしれないけどw
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テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

タグ : ジョナサン・ベル

11:11  |  蛸足図書室  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

ありがとうございます♪

感想をお聞きするのって、なんだか楽しいですね。
しかし、『スター☆ガール 』…残念!(笑)
また、挑戦(何?!)させていただきま〜す! (^-^)
JB コバヤシ |  2014.12.05(金) 21:12 | URL |  【編集】

コバヤシさん

いらっしゃいませー。
ってちょっと身の置き所が(苦笑)

いやーでもいろいろな本が読めて、楽しかったです!
同じ本を読んでるっていうのも嬉しかったし。
また何か挑戦してください。受けて立ちます!

29日のライブも、気付くともう射程圏内。
楽しみにしていますよ!
のもん |  2014.12.06(土) 11:58 | URL |  【編集】

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