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2014.10.27 (Mon)

訃報・赤瀬川原平さん

突然のニュースに言葉がありません。

体調を崩していたのは知っていたし、
出版される本もがくっと減っていて
ずっと心配していました。

あんなに笑って次々と面白いことをやっていたひとでも
病気になるんだなあとしみじみと考えていました。

私が最初にゲンペさんの文章に触れたのは
学生の頃で、東京新聞の夕刊コラムだったと思います。
カニカマといいつつカニなんて入ってないニセモノについての
面白く短い文章で、思わず捨てられずスクラップしたと思います。
大学時代は図書館で、
石子順三・花田清輝・草森紳一・滑稽新聞・広告批評のバックナンバー・南伸坊あたりを
パラパラやる中で、ゲンペさん的なものにニアミスしていたと思います。

本屋で平積みされていた「東京路上観察記」の文庫本を
ゲンペさんとは知らずに読み、
その文章・文体の面白さ、言葉選びの巧みさ、どこにもなかった視線にすっかり魅了され
昔取ったスクラップの文章のことを思い出しました。

そのあとは、トマソン、路上観察、宮武外骨あたりから、
かたっぱしからいろいろ読みました。
面白いのもあったし、それほど面白くないのもありました(笑)

回転寿司の、いつまでも回ってて表面が乾いてるようなやつは、
違う段に移して、値段を下げればいい、なんて話は
どの本に書いてあったんだか。
それに添えられたゆるいイラストには、
4段ぐらいの層になって目の前を回る回転寿司のレーン。
こういうのを丁寧に絵にするところがゲンペさんです。

老人力が出てきたときは、ゲンペさんのファンにとっては当然の成り行きでしたが
あんなに社会に反響があるとは思いませんでした。
ゲンペさんの本が売れるときは不況なんだそうですよ。笑えます。

私の文章も、考え方も、目の付け所も、おもしろがるところも、
ゲンペさんからの影響がとても大きいと思います。
もともとの私の嗜好も近いってことですが。

「ウニドロ」事件というのもありましたね。
人にわからないような比喩は比喩じゃないって藤森さんに怒られた話。

初めてテレビで話をしているのを見たときに
とても穏やかで、低くてあたたかな声をしているのが、
自分の想像と違って、印象に残りました。
美学校で先生してただけあるなあと。

好きな本はいっぱいあります。
何度も読み返した本もいっぱいあります。
もう一度読みたい本もいっぱいあります。
まだまだ、これからも読みたかった。

鎌倉に作ったという土饅頭のお墓。
ゲンペさんらしいなと、その出来上がるまでの話を読んで思っていました。

なんだか、大きな穴が開いたような気分です。
千葉で展覧会をやってるそうです。
見に行かないといけないな。

訃報:赤瀬川原平さん77歳=美術家、作家「老人力」@毎日新聞
赤瀬川原平さん死去:並外れた面白がり方@毎日新聞

心よりご冥福をお祈りします。
赤瀬川さんの文章に触れたことのない人には
ぜひ何か1冊でも読んで、ばかばかしいなと笑ってほしいと思います。
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タグ : 赤瀬川原平

16:32  |  蛸足図書室  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)

Comment

本日はこちらにも。

この日記を拝見したときから、書こう書こうと思っていましたが遅くなりました。
もしかしたら違うところ(中田くんのところしかないけど…)と重複するかもです。

私この訃報を聞いた瞬間は、たんにショックだっただけなんですけど、
その1時間後からどんどん涙が出てきてしまいました。私お得意の時差なのでしょうか…。

たびたび書いている「シンシア」を聴いていた黒歴史の時代、
いろんな本や映画や音楽に救いを求めていたのですが、
その中で出会ったのが赤瀬川さんの「芸術原論」でした。
決して芸術がわかる人間ではないし、むしろどっぷり知りたいのに難しすぎるし、何より絵心もないし創造する能力もないし、自分にはムリ、と思っていたんです。
それを優しく導いてくれたのが、この本でした。
赤瀬川先生自体が言われていたわけじゃないけど、
「なんか好きとか、なんかいい、って思うだけで芸術に触れているし、考えていることになるんだ」
と納得できて、ぐーんと芸術を身近に感じた気がします。

赤瀬川先生は名古屋の方なんですよね。
それもあり、すごくちかしい感じもして。
たった一冊読んだだけですが、あまりにも自分の涙が止まらなくて、こんなに影響受けてたっけ?ってびっくりしました。
また改めて読みたいです。

ちなみに私事で失礼なんですが、私出産が危なくて、帝王切開を勧めない病院で「どうしても切らないというなら仕方ないいですけど…」と言われたんです。
で、決心がつかずなんとなく「今日生まれたらどんな人と同じ誕生日になるんだろ」と調べたところ、赤瀬川先生の名前を見つけて即決した経緯があります。
(この日は吉田健一、遠藤周作、田辺聖子といった先生方や、小林克也さん、高中正義さん、B'zの松本さん、マライアキャリー、内田篤人などかなり派手な顔ぶれです)
saki |  2014.12.25(木) 13:51 | URL |  【編集】

sakiさん

この話題でコメント入るとは思わず、うれしいです。

「芸術原論」はたぶん、はるか以前に読んでると思うけど、
記憶が定かではないなあ。
調べて目次を見ると、あの話かな?と想像されるものがいろいろと。
今読んでもぜんぜん古くないし、
赤瀬川さんの考え方を知るのにコンパクトでいいかもしれないです。
(これ以降のここに入りきらない話も山盛りありますが)
赤瀬川さんはバリバリの前衛芸術家でしたが、
千円札裁判を経て、文章を書くようになると、
理屈で頭でっかちになる危うさから離れていきますね。
見立てや解釈で自由に楽しむことをいろいろ教えてくれます。
身近で地に足のついた視点で発せられるのがいいんですよ。
そのうえ文章が素晴らしく面白い。

年末、朝のNHKでプチ特集番組のアーカイブを放送してました。
言葉の使い方一つで、がらりと見る風景を一変させる面白さ。
私のココロの師匠です。


同じ誕生日の人を集めた本があるんですね。
そうそうたる面子だなー。
むしろゲンペさんがこの人たちと同じなのかと(笑)
sakiさんが、この人はちょっと、って人が入っていなくて良かったですね。

のもん |  2015.01.03(土) 22:54 | URL |  【編集】

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