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2016.10.15 (Sat)

本棚:『いつまでも若いと思うなよ』ほか

初夏のあたりから読んでいてたもの。
刺激のある本の数々。
死・身体・能力・引継ぎ、な話に、頭の中が活性化。
なんか養老孟司フェアな様相。
来生さんにも読んでほしいような本がたくさん。(たぶん読まないだろうが)

『いつまでも若いと思うなよ』:橋本治(15.10)
橋本さんは現代の啓蒙家で、
至ってまっとうなことを、
少し人が思いつかなかったところから
きちんと言葉で追っていくので
なかなか読みにくい、ところはあるかもしれない。
このヒトは浮ついたことを言ってるのではなく、
自分の経験にのっとって、身体で知って頭につなげているというのが
この本を読むとすっごくわかる。
こんな大変な経験、普通の人では乗りきれない。
貧乏(しかも飛び込んで行った)、
万人に一人の難病、膨大な仕事量、半端ない頭の良さ。
そういう人が、老いについて考え、発見の日々を新鮮に驚いている。
死は結局、生の側からしか考えられない。
橋本さんの新しい本が、まだ出ていることに感謝。

『衣にちにち』:群ようこ(15.06)
日々の着るものに関するエッセイ。
ある日突然、いつも着ていたものが似合わなくなる、というのがコワイ。

『よはひ』:いしいしんじ(16.01)
小説っぽい小説を読むのははじめてかも。
恒川光太郎的な雰囲気もあって面白かった。
いしいさんの本は、ひとつの文章で、
ふいにどっと涙が出てくるようなところがある。
大きな事件が起こるわけでもない話に
あっという間に引き込まれる。
目の前に、乗るはずの電車が来ているのにも気付かなかった。
一編が短いので読みやすい。
最後にゆるゆると話が集まってくるのも面白かった。
「小学4年の慎二」が強烈に印象に残る。

『街場の共同体論』:内田樹
久しぶりに内田さんの本を読みました。
社会で起こっている複雑なことを、
誰かがかみ砕いて解説してくれるととても助かります。
当然、その「誰か」が問題で、
内田さんなら大丈夫だろうと私は思うので読みます。
今の社会の状態が、
戦後豊かになることを望んで進んだ結果であるとの文章に
深く納得しつつも、恐ろしさとやりきれなさを感じて
いつもなら「そうか!」とすっきりするところが
「そうだよね」と、げんなりするという方にすすみ、
読みながら気分がふさいでしまいました。
「教育」を「経済」の視点でとらえると、
何も勉強(努力)しないで資格を得ることがいちばんトクした人になる、というのが
みもふたもなさ過ぎて嫌になる。
少しでも他者を思って動くこと、そういう人の割合が少しでも増えること、
自分から、動かしていく以外に策はないんだろうな。
次世代を育てる、自分がもらったものを次に渡すことの大切さ。
「人に迷惑をかけない」という言葉の裏にある思考にぞっとする。
他者は、めぐりあわせでそうならなかった自分の姿と思えば
考え方も変わっていく。

『庭は手入れをするもんだ 養老孟司の幸福論』:養老孟司(12.12)
先の内田さんの本と、内容がリンクしていてびっくりする。
同じような話を続けて読むことでより腑に落ちていく。
「こうすれば こうなる」と考えて、
分かった気になって動かないことの意味のなさ。
「自分」なんて、自分のものではないという考え方。
日本の自然が他国にはないほど多様で豊かなこと。
それはその国の人の考え方にも通ずること。
効率や便利や楽なことを優先して人間の力が落ちていること。
小さな範囲だけを切り取って考えることでは意味がなく、
物事はさまざまに繋がり連動していること。
以前読んだ『武術と医術 人を活かすメソッド』の
「総合医療」の考えにも繋がる話。
考えるよりもやってみること。
考えすぎて簡単な答えにも気づかないほど、能力は下がっている。

『からだとはなす、ことばとおどる』:石田千(16.03)
石田千さんの本は、読んでいると落ち着く。
言葉の静かさ、ゆっくりさ。
生活する時間の丁寧さ。
写真も含めて、昭和なかおりのする本。

『日本人はどう死ぬべきか?』:養老孟司×隈研吾(14.12)
続けて養老さんの本を読む。
二人の対談本から、隈研吾さんのことを知ったのだった。
「死」をテーマとしながら、話は違う方へ脱線していく。
日本という自然災害の多い場所に住んでいる以上、
家はずっと住み続けるものというよりも、
変化して流れてやり直せるものであるほうが自然な気がする。
「死」はつまるところ、2人称(近しい人)の死が一番の問題で
自分は死んだらおしまいで自分にはわからないのだから、
今ちゃんと楽しまないでどうすんの、今やることやらないでどうするの、
という考えが底にあるので、読んでいると気持ちが上がっていく。

『老人の壁』:養老孟司・南伸坊(16.03)
こちらも、老人・死というものをテーマとして与えられながら
中身は「どう楽しく生きていくか」ということが中心。
・人間はだませても自然はだませない。
 いい加減な仕事には相応の結果が起こる。
(これ読んだ後に、豊洲の盛土問題が出てきてうなった)
・余命は短く言っておいた方が、
 その数字より先に死なれる可能性が低くなるので医者にとって都合がイイ。
・分かったことが嬉しいのではなく、分かって自分が変わることが楽しい。
・良いと思っていることにも裏表がある。
 効きすぎる薬をもって、よく効くからと増やすのか、よく効いたからと減らすのか。
 絶対なんてものはなく、距離感と、ほどよいところで受け入れることの大事さ。
・車みたいな、70キロの人間ひとり動かすのにトンのものが必要か?
・ただ見ているだけでは分からない、
 絵を描くことで細部を観察し、概念化ができるようになる。
・趣味や夢中になることを持つと考えることが楽しくなり、
 儲けなんて出なくても人の役に立たなくても、そこに自分という作品が残る。
まさに、分かって自分が変わるような話が次々と。
軽く読み進められるけれど、たくさんの豊かな話が詰まっている。

『女を生きる覚悟』:三砂ちづる(14.07)
以前読んだ『不機嫌な夫婦』と内容的にはかぶるところが多いけれど
繰り返し読んでも大事なことは残してあるという感じ。
ここでも、大事な話をする前に、
各方面への断り書きをくどいほど書かねば話が進まないという、
今の世の中の難しさが見える。
身体のもつ力を呼び覚ますことの重要さ。
日常当たり前に使っているもの(水や電気など)がある日無くなった時に、
身体の力が発揮できる。
便利に慣れて、いろいろなことを忘れた身体がかかえる問題を
感じること・想像すること・経験してきたことから考え直すことがとても大事。
三砂さんの本を読んでいると、
赤ちゃんや子供には、
幸せを感じて嬉しいと素直に表現できるような環境と体感を
与えてほしいと心から思う。
大人の都合で無理のある生活をして、身体という基本の環境をないがしろにすること、
自分が便利だからラクだから、
子供たちの気持ちが本当にそうなのかは分からないから、と
小さな子たちが、我慢して受け入れなければいけない状態に置いてしまうこと、
読んでいると切なくて悲しくなってくる。

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テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:29  |  蛸足図書室  |  トラックバック(0)  |  コメント(4)

Comment

博学多才

のもんさんは、本の虫ですね〜驚きました!来生さんともお話しが合うと思います〜
やはり、人としていつかは打ち当る・・・「死」のテーマ〜私は年齢の割に無知ですがm(_ _)mそれを考えると恐ろしい毎日でした・・・しかし5年前に父との他界と自分の病気が重なり、それが無くなりました。父の最後が、やった〜〜ホッとしたような終わりだったのです。そして父の大切さをしみじみ想い、自分の命を分けられたらとさえ思いました。あげてしまったら、会えなくなるので(*≧∀≦*)そして父が大切にしていたが、苦労もした母が認知症になり、私は母と一緒に生きることを決めたのです〜
私は福祉関連で働いていますが、様々な死を目の当たりにしました。やはり、痛みや苦痛のみ医療の力を借りた自然死は、楽そうなよい表情です。以前、テレビで観た東京の施設だったと思います。苦痛を取る医療のみを施し、最後を迎えるまでの脳波を調べると実際に苦痛を感じていないという結果でした。食欲もなく水分も受け付けない人に無理矢理、身体に栄養や水分を送って生す・・・身体はパンクしそうで、苦しいですよ!あくまでも素人考えですm(_ _)mそれと御長寿の共通点、どんな状況にあろうとも、目の前の事に感謝し〜喜び〜笑い〜〜皆様、笑顔が自然に出るのです(╹◡╹)♡タバコを吸ってらっしゃる男性もいらっしゃいました( ´Д`)y━・~~
結論!のもんさんのおっしゃる通り、後悔しないように、今を楽しみましょう♪♪♪
ハナノ |  2016.10.17(月) 02:19 | URL |  【編集】

こんにちは。

頭で考えすぎがちで、感覚が鈍っています。
だから本当は自然の中に行くのが良いと思うのですが、
大人なので理論が必要。
というわけで、本が必要な時期になってきたので、
さっそく何冊か読もうと思います。
思えば読書の秋。
saki |  2016.10.17(月) 08:33 | URL |  【編集】

答えは来生さんの曲の中

後悔したり、辛くなったり、迷ったりした時に来生さんの曲を聴くと♪涙がでたり、間違いに気付いたり、勇気づけられたり♪
そんな感動を与えてくれる♡来生たかおさん、えつ子さんの曲に出会えて幸せです☆
そこから、来生さんにもお会いする事ができ♡日本の様々なところへ1人で足を運ぶ事ができ≡3同じ想いの皆様と出会いお話しする事ができ♡私の人生を一転する出来事が次々と起こりました☆だから、まだ起こっていない、何の根拠もない事は〜蓋開けない方がよいと気付きました
m(_ _)m
これからも来生さんの曲と共に、生きていける事♡幸せです♡ラッキーです☆
読書の秋かぁ〜〜関内までに好きな本を見つけて読みます!また一つ良い事、見つけた!ありがとうございますm(_ _)m
ハナノ |  2016.10.17(月) 21:56 | URL |  【編集】

今回のラインナップはかなり頭を使うモノばかりでした。
今は反動でゆるーいものばっか読んでます。
はげしく偏りのある本棚ですが、
なんかしら興味のわくものが見つかれば幸いです。

ハナノさん

どもども。
こんなところにも顔を出してくれて嬉しいです。
たんなる雑食の活字中毒なんですよ。
来生さんとは話が合わないような気がする―。
面白いと思うところがきっと違う。

福祉のお仕事をしてらっしゃるんですね。
なんかとても納得してしまう。
ハナノさんのような方がそばにいると
みなさん安心するんじゃないかなあ。

どの本だったか、
日本では痛みの緩和にモルヒネを使用することが、
諸国に比べて少ないという話を読みました。
おそらく医療側患者側の双方に偏見があって
使用をためらうのかな。
長生きしてほしいというのもわかるけど、
今苦しんでいる痛みを取ってあげたいというのも、
患者、患者の家族にとって切なる願いという気がする。
緩和ケアは終末期に限らず、
もっとちゃんと考えてかないといけないんじゃないかと思います。

御大のペシミズムも、
80歳超えるまでは続くかも~。
何があっても笑える年になるまで、まだまだ長いですな。

sakiさん

どもども。
私も頭でっかちの口ですよー。
だから体と経験がつながる本を
読みたくなるのかもしれません。

本を読みたくなる季節になってきましたよね。
やっぱ暑いのは集中力を欠きます。

のもん |  2016.10.20(木) 10:53 | URL |  【編集】

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