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2017.02.16 (Thu)

本棚:『圏外編集者』ほか

去年読んでいたもの。
とりあえず書いておいてアップしてない、というのがたまってます。
前回ゆるめの本を続けて読んでたので
今回はぐっと濃い経験値の詰まった本が並びました。

『圏外編集者』:都築響一(15.12)
編集者の方が、よくぞ粘って、聞き書きの本にしてくれました!という1冊。
何かを発信する、ものを作る、ってどういうことか、
気付きと刺激に満ちた本。
「好き」のエネルギーが、何をおいても一番の原動力なのだと分かる。
都築さんはいつも人が素通りするような面白いものを
取り上げている、と思っていたが、
実は「誰にでも関係するもの」「行こうと思えば行ける場所」を
取材しているのだと気付く。
たしかに、ゴージャスでオシャレで高価なものは、
ほとんどの人には現実味がなく無関係なもので、
それが記事の中心になっている雑誌ばかりであるほうがおかしい。
音楽でも美術でも文学でも観光地でもライフスタイルでも
専門部署の人間ならば、
もっと早く、効率よく、アクセスできるはずなのに、
やらないから、自分が一からやらざるを得ない。
手間と時間とお金がかかっても伝えたいものがあるからやる。
写真をてがけるのも、人に任せる時間とお金を惜しんだからで、
その結果、他の人とは重心の違う写真が撮れる。
「作品」ではなく「報道」だから、
紙面のデザイン性よりも、一つでも多くの情報を伝えたい、というのも
当たり前のことなのに、気付かずにいたこと。
都築さんが仕事を始めたころよりも、環境はまったく変わって、
プロとアマを分けていた差がどんどんとなくなっている。
技術を底上げする機材も安価で高性能になったし、
発表の場所もいくらでもあるし、どこにいてもできる。
ネットでデータにすれば、物理的なスペースも不要。
雑誌が死んでいくのも仕方がない。
この本の最初は、
自分の好きなこと、興味のあることをいかに実現するかな内容で
後半は、周りの目を気にせずに自分の好きなことを突き詰めている人を探して
取材していくことの醍醐味について語られる。
いずれにしても「好き」の力がなければ、面白いものは生まれない。
検索して見つかるようなものに、新しさはない。
都築さんのメルマガ、ものすごく面白そうだけど、
週1回の配信で、いくらスクロールしても終わりが見えないようなボリューム感、
しかも内容的にも濃ゆいに違いないものを、
定期購読できる自信がないわー。

『ウェブでメシを食うということ』:中川淳一郎(16.06)
『ウェブはバカと暇人のもの』の著者の本。
ネットが広まっていく過程を自分の体験をもとにして語っていて分かりやすい。
最後は固有名詞が多すぎて、
知っている人なら、つながりの醍醐味を感じられるのかもしれない。
ネットで有名になった人たちと言うのは多数いると思うが
ひとつの事例を知ると、
今の膨大で、とらえられない規模の世界にも
始まりがあって理由があったんだと分かる。
ネットニュースをはじめとして、
更新の頻度と記事の多さを思うと
どうでもいい内容、どうかと思う参照先、
反応として挙げられる事例の薄っぺらさ、
文章の拙さ、
どれも致し方ないことなんだろうが、
いつのまにかそういう単純で分かりやすく本当にそうなのか検証も甘いようなネタと
瞬発力だけの無責任な反応に埋もれて、
世間の雰囲気が作られてってしまうのかなと不安になる。
今もこの先も、
誰がどこまで網羅できるのか、
広がりすぎた世界を整理し説明してくれる人が
求められるように思う。
他にもたくさん著作があるようなので、つまんで読んでみるつもり。

『マンガ熱 マンガ家の現場ではなにが起こっているのか』:斎藤宣彦(16.07)
ボリュームと情熱に満ちた本。
Eテレでやっている「漫勉」が好きで見てるのだけど、
あれを見たあとだと、文章だけというのは分が悪い気がする。
自分が知っている島本和彦や藤田和日郎であれば、
熱い言葉の数々がストレートに入ってくるのだけど、
あまりなじみのない人、知らない人になると、
しかも作品を絡めてとなると、正直あまり分からなくなる。
やはり筆の動くさま、絵が出来上がっていく過程ほど
漫画を知るのに最適なものはないんだなあと実感。
でもこれだけ濃い中身のインタビューはそうないと思う。
島本和彦さんの「ギャグ特許」の話、
藤田和日郎さんの「ヒーローは間に合わなければならない」、
こういう一言が読めただけでモト取った感じ。

『毎日が一日だ』:いしいしんじ(16.03)
毎日新聞に連載されていたエッセイをまとめたもの。
『京都ごはん日記』に書かれていたことが、
読みやすい文章で、説明も加えられて、
いしいしんじを知らない人にも分かりやすくなった感じ。
息子に対する愛情を、作家の客観性と文章力で書くと
誰のココロにも繋がっていく深みが出る。
男性作家が子供について書く文章が私はすごく好きだなー。
この作家の子供だから、で
他の子供には体験しようのないものもたくさんあるけれど
日常の中で子供が見せる新鮮な反応や言葉は、
子育ての醍醐味なんだろうと思う。
目の前の小さなことに怒ってばかりいるお母さんや、
仕事に追われるばかりで時間のないお父さんに、
こういう本を読む暇もないのかもしれないし
読んでも味わうほどの余裕もないのかもしれない。
でも後から振り返って、うつくしい思い出として読むよりは
今読んで、今の時間の大切さを感じてほしいなあ、
などと部外者は呑気に思ったりする。
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テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

09:39  |  蛸足図書室  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)

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